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モルダバイト

 宝石の内「モルダバイト」について、組成・特徴・歴史・産地などを写真や動画を交えて解説します。

モルダバイトの組成

モルダバイトの外観写真
  • 分類:テクタイト
  • 組成:-
  • 結晶系:-
  • 色:薄緑
  • 光沢:ガラス光沢
  • モース硬度:-
  • 比重:-
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モルダバイトの特徴

 モルダバイトはオリーブグリーンのガラス質の物質で、隕石の衝突によって生成されたと考えられる鉱物です。こうした鉱物は「テクタイト」(tektite/隕石衝突によって作られる天然ガラス)と呼ばれます。
 名は、チェコのMoldautheinという都市で採れることから名づけられたようで、「シュードークリソタイル」(pseudo-chrysolite/擬似クリソタイル)というフォルスネームで宝飾品に加工されることもあります。
 モルダバイトの持つ暗緑色は、一時期人工物ではないかという疑いをもたれました。しかし、この鉱物が採取された近辺で人工のガラスが発見されていないこと、およびこの鉱物が発見された地層が、地質第三紀から地質更新世という極めて古い時代に属しているという事実が反証として挙げられています。

モルダバイトの生成

 モルダバイトは長年オブシディアン(黒曜石)の一種と考えられてきました。しかし、化学組成からみて火山活動によって生成されたという仮説には無理があるようです。
 F.E.Suessという学者は、モルダバイトの小切片表面に、水の作用とは違う特徴的な小孔やしわを発見し、それが隕石によって形成された可能性を指摘しました。彼はモルダバイトを宇宙に起源を持つ鉱物とし、テクタイトの特殊型であると提唱します。同じタイプに属するテクタイトは「オーストラライト」、もしくは「オブシディアナイト」とよばれるものです。
 なおモルダバイトと同じ鉱物はインドネシアでも発見されており、こちらは発見場所であるスズ鉱山のあるベリタング島(isle of Belitung)にちなんで「ビリトナイト」(billitonite)と命名されています。

モルダバイトの産地

 モルダバイトは今からおよそ1500万年前、現在のドイツ・ネルトリンガー・リース(Nordlinger Ries)辺りに衝突した巨大隕石によって形成されたのではないか、という議論がなされています。この説が正しいとすると、衝突時の熱によって溶解し散乱した岩石は、空中で冷やされて固体に戻り、今のボヘミア地方、チェコ共和国、オーストリア、ドイツ、モルドバ共和国に降り注いだと考えられます。
 衝突によってちりぢりになったモルダバイトの総量は、およそ275トンあると計算されていますが、現在は、チェコで稼動しているモルダバイト鉱山が4つあるのみで、今から10年もすると、宝石としてのクオリティを備えた上質なモルダバイトが地上から枯渇するだろうと予測されています。

モルダバイトのグレード

 モルダバイトには「美術館グレード」と「通常グレード」という二つの区分があり、見た目も価値もまるで違います。
 通常グレードのモルダバイトは、緑色が濃く、表面には風化による小孔が見られます。
 一方、美術館グレードのモルダバイトは、表面に特徴的なシダ植物のような模様を持ち、通常グレードのものよりも高い透明度を持ちます。
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モルダバイトの動画

 以下でご紹介するのは美術館グレード(museum grade)のモルダバイト動画で、まるで脳の表面を思わせるような複雑な溝が特徴的です。 前者は43 x 27 x 15 mm/83カラット、後者は32 x 26 x 14 mm/52.5カラットです。
元動画は⇒こちら
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