トップ宝石の基礎知識ダイヤモンドの鑑定書

ダイヤモンドの鑑定書

 ダイヤモンドの品質を知るための指標として鑑定書があります。様々な項目が記載されていますので、一つ一つ見ていきましょう。

発行機関

 ダイヤモンドの発行機関とは、ある一定の基準に基づいてダイヤモンドの格付けを行う機関のことです。なお、GIA(アメリカ宝石学協会)が考案した「4C」(フォーシー)という基準がありますが、これは色(Color)、透明度(Clarity)、カラット(Carat)、カット(Cut)の4つを表し、ダイヤモンドの鑑定書には必ず登場する項目ですので覚えておくとよいでしょう。以下はGIA発行の鑑定書サンプルです。 ダイヤモンドの鑑定書・外観見本

世界的に有名な発行機関

 世界的に有名な発行機関は以下です。発行される鑑定書は全て英語になります。
世界的な鑑定書発行機関
  • HRD  HRD(Hoge Raad voor Diamant) は1975年に設立された、ベルギーにある4つのダイヤモンド取引所を総括する公益法人です。IDC規則(International Diamond Counsil Rules)を主導する機関ですが、IDC規則とはダイヤモンドを格付けする際のルールブックのようなもので、世界中の鑑定機関で遵守されています。
  • GIA  GIA(Gemological Institute of America)とは宝石学の研究と教育とを目的として1931年に設立されたアメリカの機関で、ダイヤモンドの鑑定業務も行っています。ダイヤモンドの価値基準である「4C」の概念を考案した組織でもあり、独自の格付け基準によって宝石の鑑定を行います。
  • EGL  EGL (European Gemological Laboratory)とは1974年に設立された組織で、国際基準にのっとった鑑定業務を行っています。
  • IGI  IGI(International Gemmological Institute)とは1975年に設立された、ダイヤモンドや色つき宝石の鑑定業務を行う組織です。アントワープに本部があり、日本(東京)を含めた世界中に支部をもちます。

日本の発行機関

 日本においてダイヤモンドの鑑別(grading=グレーディング)を行う団体は以下で、日本語の鑑定書を発行してくれます。宝石の鑑別士は国家資格ではありませんので、全て民間の企業・団体になります。
日本のダイヤ鑑定機関
  • 中央宝石研究所  Central Gem Laboratoryの頭文字をとってCGLとも呼ばれる日本最大の鑑定機関です。HRDと提携しています。 中央宝石研究所
  • GIA JAPAN  GIA JAPANのラボ部門であるAGTジェムラボラトリーが鑑定業務を行っています。 GIAとは4Cを考案したアメリカの団体で、GIA JAPANはその日本支部になります。 GIA JAPAN
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カット・形状

 ダイヤモンドのカット・形状(Shape & Cut)とは、その石がどのような形にカットされているかを示す項目です。
 ダイヤモンドの鑑定対象となるのは主として「ラウンドブリリアントカット」のみですので、必然的に鑑定書には「Round Brilliant Cut」と記載されているはずです。
 ちなみに、ラウンドブリリアントカットの詳細、及びラウンドブリリアントカット以外のカットに関しては宝石のカットをご参照下さい。
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寸法

 ダイヤモンドの寸法(Measurement)とは、ガードルの直径を計測した際の最大値と最小値、及び全体の深さを数値で記したものです。たとえば、4.50-4.59/2.96MMとある場合、ガードルの最小直径が4.50mm、最大直径が4.59mm、そして全体の深さが2.96mmということになります(以下の図参照)。
 ちなみに、ラウンドブリリアントカットの場合、直径と全体の深さ(高さ)がわかっていれば、およそ5%程度の誤差でもって重量を計算することが出来ます。ダイヤモンド重量の簡易計算式は以下です。 ダイヤモンド重量の簡易計算式
ダイヤモンドのプロポーション各種名称
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重量・カラット

 ダイヤモンドの重量(カラット/Carat)とは、ダイヤモンドの大きさを表す指標で、GIAが定めた4Cの内の1つです。
 1カラットは200ミリグラムと規定されており、鑑定書の中で「CT」と記載されている部分は「カラット」の略号で、小数点以下3の位まであるのが普通です。
 カラットという単位は、1907年に開催された、第四回国際度量衡総会(General Conference on Weights and Measures) で定義づけがなされてから世界中に広がり、時として「メートル法のカラット」(metric carat)とも呼ばれます。
 一般的にカラット数が上がるにしたがって、ダイヤモンドの価格も上がりますが、これは、ダイヤが大きくなればなるほど希少価値も高まり、また宝石としての需要が高まるからです。精密な電子計測器を用いて1/1000グラムの単位まで計測されます。
重量の見方・一例
  • 0.350CT=0.35(ct)×200(mg)=7mg
  • 1.040CT=1.04(ct)×200(mg)=208mg
 なお、1カラットに満たない重量単位を「ポイント」と呼ぶこともあります。たとえば「0.5カラット⇒50ポイント」という具合です。
 国によってばらつきはありますが、おおむね0.1カラット以下の小粒なダイヤモンド、つまり10ポイント以下のダイヤモンドは、「メレダイヤモンド」(メレとはフランス語で”小粒の石”)と呼ばれ、宝飾品の中央に鎮座するメインストーンを引き立てるため、周囲に散りばめられることがよくあります。
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明澄度・クラリティ

 ダイヤモンドのクラリティ(Clarity)とは、インクルージョン(inclusion)と呼ばれる内包物の存在や見た目、及びブレミッシュ(blemish)と呼ばれる表面の傷などを評価する際の指標です。このクラリティをある一定基準に従って格付けしたものは、鑑定書の中では「Clarity Grade」・「クラリティの等級」・「明澄度」などと記載されます。
 宝石としてのクラリティを満たした美しいダイヤモンドは、採掘される原石の内のわずか20%にすぎず、残りの80%は工業利用に回されるといいます。

インクルージョンとブレミッシュ

 ダイヤモンドのクラリティに影響を及ぼすインクルージョンとブレミッシュについて解説します。

インクルージョンとは?

 インクルージョン(inclusion)とは、宝石内部に閉じ込められた何らかの結晶物や全くの異物、もしくは他のダイヤモンドの結晶や、ひびがぼやけた影となって見えるものなどです。ダイヤモンド業界では「inclusion」(インクルージョン)の代わりに「internal characteristics」、つまり「内部特徴」という中立的な表現を用いることがあり、鑑定書の「Plot」欄には赤で記されます。
 インクルージョンの数、大きさ、色合い、位置や方向などの全てが、ダイヤモンドのクラリティ評価に影響を及ぼします。インクルージョンは専門の鑑定士が10倍に拡大した状態で判定しますが、ほとんどの場合はダイヤモンドの美しさや構造的な完成度に影響を及ぼしません。しかし、余りにも大きな濁りがあると、宝石内部における光の反射を阻害しますので、どうしても評価は下がります。また内部に大きなヒビがあるとダイヤモンドの強度を弱めて破損する危険性があるため、やはり評価は下がります。
 代表的なインクルージョン(内部特徴)は以下です。
インクルージョン一覧
  • Pinpoint 針先でついたような極小の含有物
  • Clouds 極小の白色インクルージョンが集合して雲のようにみえるもの
  • Feathers ひびや割れなどを上面から見た際、白い羽毛状に見えるもの
  • Included crystals or minerals ダイヤモンド内部の他の鉱物の結晶など
  • Cavities結晶内部の空洞
  • Cleavage比較的大きなひびや割れ
  • Beardingガードル部に見られるひげ状の亀裂
  • Internal graining結晶の成長痕跡が見えるもの
  • Laserdrillingレーザーによる人工処理の痕跡

ブレミッシュとは?

 ブレミッシュ(blemish)とは、ダイヤモンド表面の引っかき傷、小さな穴、欠け目、研磨時の傷、カッティングの痕跡などです。「external characteristics」(外部特徴)という表現を用いることもあり、鑑定書の「Plot」欄には緑で記されます。
 ほとんど目立たないようなブレミッシュは、逆に紛失した際の目印になるという側面もありますので、人間で言うところの指紋に相当するでしょう。 また近年では合成ダイヤモンドと天然ダイヤモンドの見分けがつきにくくなっていますので、多少の傷や欠陥があるほうが、逆に天然であることを示してくれることもあるようです。
 代表的なブレミッシュ(外部特徴)は以下です。
ブレミッシュ一覧
  • Polish Lines 研磨した痕跡が見えるもの
  • Naturals 原石の持つファセットが残っている状態
  • Scratchs 引っかき傷
  • Percussion Figure ダイヤモンド同士がぶつかって出来た傷
  • Nicks ガードル部に見られるギザギザ
  • Pits 穴・小孔
  • Chips 小さな欠け目
  • Abraded Facetedge ファセットエッヂに見られる磨耗
  • Abraded Culet キューレット部に見られる磨耗
  • Extra Facet 正規のカット面以外の余分なカット面
  • Knot インクルージョンがファセット面に現れたもの

ダイヤモンドのクラリティ評価基準

 GIAの基準を基にした場合、ダイヤモンドのクラリティは、以下で示す11段階で評価されます。 ダイヤモンドのクラリティ評価基準一覧表
  • Flawless(FL)  FLとは、10倍拡大下で観察しても、インクルージョンやブレミッシュが見つからない状態です。
  • Internally Flawless(IF)  IFとは、10倍拡大して観察してもインクルージョンはないが、若干のブレミッシュが表面に認められる状態です。
  • Very, Very Slightly Included(VVS)  VVSとは、熟練した鑑定士が10倍に拡大してみても視認することが困難なインクルージョンを含む状態です。VVS1はVVS2よりもクラリティが高いときに用いられるサブグレードです。
  • Slightly Included(SI)  SIとは、熟練した鑑定士が10倍に拡大して観察したとき、容易に発見できるインクルージョンを含む状態です。SIはさらに、1-3までの3つのサブグレードに分けられます。
  • Included(I)  Iとは、熟練した鑑定士が10倍に拡大して観察した時、明らかにインクルージョンが含まれていると視認できる状態です。Iはさらに3つのサブグレードに分けられます。SIは比較的クラリティの高いもの、S2は容易に発見できるインクルージョンを含むもの、S3はダイヤモンドの輝きや耐久性に影響を及ぼすような、明らかな異物があるものを指します。
 またHRDの基準を基にした場合、ダイヤモンドのクラリティは、以下で示す10段階で評価されます。 HRDのダイヤモンドのクラリティ10段階評価
  • Loupe Clean  Loupe Clean(ループクリーン)とは、自然光の下、ルーペで10倍に拡大して観察した際、いかなるインクルージョンも認められない状態です。まずは顕微鏡で10倍以上に拡大して調べ、もしインクルージョンがが見つかれば、10倍ルーペを用いて肉眼で確認できるかどうかを再検査します。おおむね、インクルージョンの大きさが5ミクロン(1ミクロンは1/1000ミリメートル)以下の場合にLoupeCleanと評価されます。
  • Very, Very Small Inclusion(VVS)  VVSとは、熟練した鑑定士が10倍に拡大してみても視認することが困難なインクルージョンを含む状態です。VVS1はダイヤモンドのテーブルファセットから見えるインクルージョンの大きさが12ミクロン程度、そしてVVS2は25ミクロン程度の場合を指します。
  • Very Small Inclusion(VS)  VSとは、熟練した鑑定士が10倍に拡大して視認することができる極小のインクルージョンを含む状態です。VS1はダイヤモンドのテーブルファセットから見えるインクルージョンの大きさが40ミクロン程度、そしてVS2は70ミクロン程度の場合を指します。
  • Small Inclusion(SI)  SIとは、熟練した鑑定士が10倍に拡大して観察したとき、容易に発見できるインクルージョンを含む状態です。S1、S2とも、ダイヤモンドのテーブルファセットから見えるインクルージョンの大きさが150ミクロン程度のものを指します。
  • Pique(P)  Pとは、裸眼では視認できないが、熟練した鑑定士が10倍に拡大して観察した時、明らかにインクルージョンが含まれている状態です。P1はダイヤモンドのテーブルファセットから見えるインクルージョンの大きさが0.5mm程度、P2は1.5mm程度、そしてP3は3mm以上の場合を指します。

ダイヤモンドのクラリティ鑑定手順

 GIAにおけるクラリティの鑑定手順は、暗視野照明(darkfield illumination)の元で10倍に拡大して行われます。GIAラボラトリーは標準装置として二眼ステレオ顕微鏡を用いていますが、これは暗視野照明のほかダイヤモンドの蛍光性を調べるための紫外線照射機能付きです。顕微鏡の接眼レンズ部分には測定用の目盛りがついており、発見したインクルージョンのサイズが測定できるようになっています。なお、インクルージョンの位置や大きさは、後述する「Plot」という項目に記載されます。手持ちルーペで原始的に鑑定を行う際は、暗視野照明が難しいため、ダイヤモンドのクラウン部に光が反射してしまわないよう、横から光を照射する必要があります。
 鑑定士はまずダイヤモンドを充分に洗浄した後、ピンセットを用いてガードルをはさむようにダイヤモンドをホールドします。鑑定士はテーブル面を通してキューレット部を観察し、インクルージョンが無いかどうかを視認します。次の段階では、ダイヤモンドをテーブル面とキューレット部を挟むようにして持ち直し、パビリオン部から入念に観察します。ファセットの一面の観察が終わると、鑑定士はダイヤモンドを回転させ、次のファセット面へと取り掛かります。インクルージョンが宝石内部にあるのか、表面部にあるのかを確定する際は、先述した暗視野照明を用います。インクルージョンの詳細を知りたい場合は、ルーペの代わりに二眼ステレオ顕微鏡を用いて観察しますが、インクルージョンがクラリティに及ぼす影響を評価する際は、再び10倍ルーペに戻って観察しなおします。こうして最終的なクラリティ評価が下されるのです。
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色の等級・カラー

 ダイヤモンドの色(カラー/Color)とは、文字通りダイヤモンドにうっすらと付いた色を示す指標で、鑑定書の中では「Color Grade」・「カラーの等級」などと記載されます。

ダイヤモンドのカラーについて

 科学的に合成され、完全な結晶構造を持つ人工のダイヤモンドは、完全な透明色であり、いかなる色も含みません。しかし自然の中から採掘されるダイヤモンドは、大なり小なり何らかの色合いが付いているものです。そうした色は主として、化学的な不純物や結晶構造の不具合などに起因しており、色合いや濃度により、ダイヤモンドの価値は上がったり下がったりします。
 例えば、ダイヤモンドが黄色味がかっている場合は価格が安くなる一方、ピンクやブルー(ホープダイヤモンドに代表されるような)の色が濃ければ濃いほど、市場価値は高まります。
 このように、ダイヤモンドのカラーは価値を決定付ける重要な要因なのです。

ダイヤモンドのカラータイプ

 自然界で採掘されるダイヤモンドの多くは、薄い黄色~茶色の色合いを持っており、これらは「ノーマルカラー」と呼ばれます。一方、濃い黄色や茶色、及びその他の色をもつダイヤモンドは「ファンシーカラー」と呼ばれたりします。
 ダイヤモンドの鑑定においては上記「ノーマルカラー」のみが対象となりますので、鑑定書内のカラーグレーディング(色評価)は必然的に「どの程度黄色いか?」を示すものとなります。
 ダイヤモンドの色としては、グレー、ブルー、イエロー、オレンジ、レッド、グリーン、ピンク、パープル、ブラウン、果てはブラックに至るまで実に様々で、内部に含まれる不純物の特性や、不純物が光の吸収に及ぼす影響により、「TypeI」と「TypeII」という二つのグループに分類されます。

TypeIのダイヤモンド

 Type I(タイプI)のダイヤモンドは、不純物としておおよそ0.1%の窒素(N)原子を含むグループです。Type Iダイヤモンドは赤外線、及び紫外線の両方を吸収する性質を持ちます。
 TypeI-Aというサブクラスに分類されるダイヤモンドは、窒素原子がペアで存在しているもので、これらはダイヤモンドの色合いに影響を及ぼすことがありません。TypeI-Aは宝石として扱われるダイヤモンドの内、およそ98%を占め、このタイプのダイヤモンドを多く産出した南アフリカのケープ州にちなんで「ケープシリーズ」と呼ばれることもあります。
 一方、TypeI-Bというサブクラスに分類されるダイヤモンドは、窒素原子が偶数個寄り集まって大きな集合体を作っている物を指し、黄色から茶色の色合いになります。美しい黄色で有名な「カナリー・ダイヤモンド」はこのグループです。

TypeIIのダイヤモンド

 Type IIのダイヤモンドは、不純物として窒素を含まないタイプのダイヤモンドです。
 TypeII-Aというサブクラスに属するダイヤモンドは、ピンク、赤、茶色に色づきます。これらの色づきダイヤモンドは、結晶が形成される過程で発生する、構造上の変則的なひずみが主な成因で、宝石として扱われるダイヤモンドの内、わずか1.8%しかない希少なものです。
 一方、TypeII-Bというサブクラスに属するダイヤモンドは、宝石として扱われるダイヤモンドの内、わずか0.1%のシェアしかなく、内部に含まれるホウ酸の影響で明るい青を発色します。ちなみに、TypeI-Aにおいても青灰色のダイヤモンドがありますが、これはホウ酸とは無関係です。

ノーマルカラーダイヤモンドの評価基準

 薄い黄色~茶色の色合いをもつ、いわゆるノーマルカラーダイヤモンドのカラー評価(カラーグレーディング/color grading)は、ロンドンのダイヤモンドシンジケートが発案したもので、ダイヤの原石を売りさばく際の簡易評価法として始まりました。
 ダイヤモンドの取引が広まるにつれて色の評価法が世界中に広まるようになりましたが、初期の格付けにおいてはI, II, IIIや A, AA, AAAや A, B, Cなどが用いられていたようです。評価基準が中途半端なDからスタートするのは、それ以前に散々使われていたA,B,Cと混乱しないようにした、というのが通説になっています。
 現代におけるダイヤモンドのカラーグレーディングに関しては、GIA(Gemological Institute of America)の採用しているものが最も有名です。なお、色合いがZよりも濃い場合は「ファンシーカラー」というカテゴリに分類され、ダイヤモンドの鑑定対象外となります。 ノーマルカラーダイヤモンドのカラー評価D-Z
  • Colorless 無色の状態です。
  • Near Colorless 限りなく無色に近い状態です
  • Faint Yellow 薄い黄色がついた状態です。一般的にカラーグレードがK以降のダイヤモンドについては、カラーグレーディングと共に色を表す記述が添えられます(M/Faint Brownなど)。
  • Very Light Yellow  わずかに薄黄色が認められる状態です。
  • Light Yellow  薄黄色が認められる状態です。

ダイヤモンドのカラー評価手順

 ダイヤモンドのカラー評価手順は、まず色の規準となるマスターストーンと、評価対象となるダイヤの色を見比べることから始まります。
 評価する際は、日光と同じ光量のランプが設置されたライティングボックス(Lighting Box)の中で行われます。このとき、ダイヤモンドはクラウン部が下、パビリオン部が上になるように設置されます。ダイヤモンドがすでに指輪などに加工されている場合は、評価対象となるダイヤのテーブルファセット(ダイヤモンド上部の最も広い面)と、マスターストーンのテーブルファセットとをなるべく近づけ、光の条件が極力同じになるようにして比較評価します。
 鑑定を専門で行っている機関は、色評価を行う際のマスターストーンの全セットをそろえていることが多いですが、小売店などで働く鑑定士は、フルセットのミニチュア版とも言える5種のマスターストーンセットだけで済ませることが多いようです。たとえばE,G,I,K,Mのマスターストーンだけをそろえ、その中間の色は鑑定士の主観と経験で決めるというやり方です。
 鑑定書におけるカラーグレーディングの欄には、グレードと共に「〇〇認定マスターストーンセット・No105」のように、色判断の基準となったマスターストーンが明記されます。

色起源とは?

 ダイヤモンドの鑑定書内で、カラーグレーディングの近くに「色起源」(Color Origin)という項目がある場合、それはダイヤモンドの色が天然か人工かを示しています。
 科学技術の発達により、高温高圧処理や放射線処理などで、ダイヤモンドに人工的に色をつけることが可能になりました。ですから、「色起源」を明記することによって、購入者により真実に近い情報を提供することが出来るという訳です。なお、宝石に対して施される人工的な処理に関しては宝石の人工処理をご参照下さい。

ファンシーカラーダイヤモンドのカラー評価方法

 ノーマルカラーグレーディングの評価基準において、最も濃い色である”Z”よりも濃い色を持つダイヤモンド、及び黄色や茶色以外の色合いをもつダイヤモンドは「ファンシーカラー」と呼ばれ、ノーマルカラーとは違う方法で評価されます。
 この評価方法はルビーやエメラルド、サファイアなど色つきの宝石を評価する際の方法に近似していますが、一般的にファンシーカラーはダイヤモンドの鑑定対象から外されますので、鑑定書内に登場することはありません。GIAにおいては、色つき宝石を評価する際の27のサンプルカラーを設定しています
色つき宝石のサンプルカラー27種
  • Red系統(3色)Red, Orangish-Red, Reddish-Orange
  • Orange系統(5色)Orange, Yellowish-Orange, Yellow-Orange, Orange-Yellow, Orangish-Yellow
  • Yellow系統(5色)Yellow, Greenish-Yellow, Green-Yellow, Yellow-Green, Yellowish-Green
  • Green系統(5色)Green, Bluish-Green, Blue-Green, Green-Blue, Greenish-Blue
  • Blue系統(3色)Blue, Violetish-Blue, Bluish-Violet
  • Violet系統(1色)Violet
  • Purple系統(5色)Purple, Reddish-Purple, Red-Purple, Purple-Red, Purplish-Red
 ダイヤモンドのファンシーカラーに関しては、上記27色のほかに White (乳白色), Black (不透明), Gray, Pink, Brownなど追加の色基準があります。
 またダイヤモンド業界では、色を表す特殊な用語としてシャンペン(champagne)、コニャック(cognac)、コーヒー(coffee)などがあり、シャンペンはライトブラウン、コニャックはオレンジッシュブラウン(オレンジがかった茶色)、そしてコーヒーはディープブラウン(深い茶色)やヴィヴィッドブラウン(鮮明な茶色)を指し示す際に用いられます。なお、色の濃さに関しては以下のような基準で表記されます。
ファンシーカラーの濃さ・表記方法
  • Faint
  • Very Light
  • Light
  • Fancy Light
  • Fancy
  • Fancy Dark
  • Fancy Intense
  • Fancy Deep
  • Fancy Vivid
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カットの等級

 ダイヤモンドのカットとは鑑定書で「Cut Grade」・「カットの等級」と表現されている部分で、そのダイヤモンドの形状ではなく、バランスや仕上がりに対して与えられた評価を示します。

ダイヤモンドのカットについて

 ダイヤモンドのカットグレードは「プロポーション」(全体のバランス)と「フィニッシュ」(仕上がり具合)を総合的に評価した上で与えられ、評価が高い順に「Excellent(素晴らしい) > Very Good(とてもいい) > Good(いい感じ) > Fair(まあまあ) > Poor(イマイチ)」という格付けになります(GIA基準)。ただし、ある一定以上の大きさ(おおむね0.1ct以上)を持ち、なおかつファンシーカラー、ファンシーカットではないラウンドブリリアントカットのダイヤモンドだけが評価の対象となります。 ダイヤモンドのカットグレード

ダイヤモンドのプロポーション

 ダイヤモンドの鑑定書内に「プロポーション」と記載されている箇所がある場合、それはダイヤモンドの寸法を精密に計測する機械(サリン社のDiaVisionやOGIテック社のMegascopeなど)によって採寸された結果です。GIAや日本の支部であるAGTジェムラボラトリーでは、 計測結果はデータベース(FacetwareTMCutEstimator)に送られ、機械によるカットの簡易評価が行われます。こうした自動判定が可能なのは、過去に収集した膨大なデータから、ある特定のプロポーションがもつ光学的な美しさ(ブリリアンスやファイアの度合いなど)を予測することが出来るからです。 しかし機械の自動判定結果が鑑定書に記載されることはなく、最終的には熟練した鑑定士が肉眼で確認した結果が、カットの最終評価として採用されます。
 ダイヤモンドにラウンドブリリアントカットが施されている場合のプロポーション評価には、主に3つの基準が適用されます。
RBCのプロポーション評価基準
  • アメリカン・スタンダード  1919年にマルセル・トルコウスキー(Marcel Tolkowsky)が提案したのが「アメリカン・スタンダード」(American Standard)と呼ばれる基準で、主に北米において主流になっています。またの名を「アメリカン・アイディーアル」、もしくは「トルコウスキー・ブリリアント」と言います。
  • プラクティカル・ファイン・カット  ドイツを筆頭としてヨーロッパで主流なのが「プラクティカル・ファイン・カット」(Practical Fine Cut)と呼ばれる基準で1939年に登場しました。アメリカンスタンダードが数学的な計算に基づいているのに対し、ドイツで生まれたプラクティカル・ファイン・カットは経験則に基づいています。
  • スカンジナビアンスタンダード  北欧で主流となっているのがスカンジナビアンスタンダード(Scandinavian Standard)です。
 上記3つ以外の評価基準としては、1929年に提示された「アイディーアル・ブリリアント」(Ideal Brilliant)、1951年の「パーカー・ブリリアント」(Parker Brilliant)、1968年の「ユーリッツ・ブリリアント」(Eulitz Brilliant)がありますが、実用には至っていません。
 評価基準としての細目としては、 テーブル径、クラウンの高さ、ガードルの厚さ、キューレットサイズ、パビリオンの深さ、クラウン角度、パビリオン角度があります。
 以下では代表的なブリリアントカット・スタンダードを列挙しますが、基準値が「%」で示されているものは、ガードル径を100%とした時のパーセンテージです。また、基準値が設けられていない「キューレットサイズ」に関しては、評価の高い順に並べるとNONE(なし)、VERY SMALL(非常に小さい)、SMALL(小さい)、MEDIUM(中程度)、SLIGHTLY LARGE(やや大きい)、LARGE(大きい)、VERY LARGE(非常に大きい)、EXTREMELY LARGE(極端に大きい) という特殊用語によって格付けがなされます。また「ガードル厚さ」に関しては、評価の高い順に並べるとEXTREMELY THIN(極端に薄い)、VERY THIN(非常に薄い)、MEDIUM(中程度)、SLIGHTLY THICK(やや厚い)、THICK(厚い)、VERY THICK(非常に厚い)、EXTREMELY THICK(極端に厚い)という用語で評価されます。 ダイヤモンドのプロポーション各種名称
BCのスタンダード比較一覧表
ブリリアントカットのスタンダード比較一覧表
キューレットとガードルの評価
キューレットサイズとガードル厚さの評価(評価の高い順に)

ダイヤモンドのフィニッシュ

 ダイヤモンドのフィニッシュ、つまり「仕上がり状態」は「ポリッシュ」(研磨状態/polish)と「シンメトリー」(対称性/symmetry)から成ります。ポリッシュもシンメトリーも「Excellent(素晴らしい) > Very Good(とてもいい) > Good(いい感じ) > Fair(まあまあ) > Poor(イマイチ)」という五段階評価が下されます。
 「ポリッシュ」(研磨状態)とは各ファセット面に施された研磨の仕上がりに対する評価です。研磨が稚拙だと、反射がぼやけてしまい、全体として貧相な印象を与えてしまいます。
 「シンメトリー」(対称性)とはダイヤモンドのファセットの位置やバランスに対する評価です。シンメトリーが不完全だと、ダイヤモンドに出入りする光の方向性が不規則になり、ため息の出るような美しさは出ません。

ダイヤモンド・カットの歴史

ダイヤモンド・カットの歴史  ダイヤモンド・カットの歴史は、中世後期にまで遡ることができます。それ以前におけるダイヤモンドは、採掘されたままの状態、つまりゴツゴツした八面体の無骨な姿のまま宝飾品として使われていたようです。ダイヤモンド・カットの第一歩は、まず原石の八面体ファセットを平らでピカピカなるまで研磨するということでした。この技法は「ポイントカット」(Point Cut)と呼ばれ、14世紀中頃にまで遡ることができます。1375年には、ダイヤモンド研磨師たちのギルド(組合)がドイツ・ニュルンベルグに設立されたという記録もあります。
 15世紀中ごろになると、ポイントカットが進化を遂げます。八面体上部にある、先のとがった部分を中ほどで切り取り、今で言う「テーブル」面が作られるようになりました。これが「テーブルカット」(Table Cut)です。破損を防止するためのキューレットの重要性が認識されたのもこの頃で、テーブルカットにはしばしばキューレットが並存しています。その後、ピラミッドの四つ角が削り取られて側面に8つの面が誕生し、「オールドシングルカット」(Old Single Cut/もしくはオールドエイトカット)と呼ばれるようになりました。こうした古典的なカッティング方法では到底ダイヤモンド本来の輝きを引き出すことは出来ません。当時のダイヤモンドの魅力は、主として艶(つや)や、そのずば抜けた硬さにあったようです。
 1476年頃、ルイ・ヴァン・ベルケムというベルギーの研磨師が、完全なシンメトリーを備えたファセット構成を考案します。彼のカットは、今日「ブリオレット」(Briolette)と呼ばれるものです。16世紀に入ると、「ローズカット」(Rose Cut)がアントワープで誕生します。オーロフ(Orloff)やサンシー(Sancy)など、インド産の有名な巨大ダイヤモンドもローズカットを彷彿(ほうふつ)とさせる外観を有していますが、こうしたダイヤモンドは西洋においてローズカットが誕生する以前から存在しているため、西洋の研磨師たちがインドのカットにインスパイアされたのではないか、という説もあります。
 17世紀に入り、いよいよ最初のブリリアントカットが登場します。これは「マザリンカット」(Mazarin)と呼ばれ、上部のクラウン部に17のファセットを持つのが特徴です。その後、ヴィンセント・ペルッチというイタリア・ヴェネチアの研磨師がマザリンカットを発展させ、クラウン部に33のファセットが作られるようになりました。これが「ペルッチ・カット」(Peruzzi)です。
 18世紀になると、「クッション」(Coushon)という通称でも呼ばれる「オールドヨーロピアンカット」(Old European Cut)が誕生します。下部のパビリオン部の深さや、ファセット構成が少しずつ変化しながらも、19世紀においてはこの「オールドヨーロピアンカット」がヨーロッパ中を席巻(せっけん)します。
20世紀に入って登場したブリリアントカット  20世紀初頭、つまり1900年頃になると、研磨用の旋盤が発達し、現代ダイヤモンドカットの代表格である「ブリリアントカット」(Brilliant Cut)がいよいよ登場し始めます。1919年、マルセル・トルコウスキーという研磨師が、ダイヤモンドのブリリアンス(輝き)とファイア(光が分散した際に発する虹色)の両方を計算し、絶妙なバランスでカッティングする方法を編み出しました。彼の計算は、後に誕生する様々なブリリアントカットの礎(いしずえ)となっています。
 一方、トルコウスキーが「理想的」としたカットも、現代の視点からすると完璧とはいえない部分もあります。ブリリアントカットは完璧に近いシンメトリーをなしていますが、ダイヤモンドにはあらゆる方向や角度から光が入射する可能性があります。トルコウスキーが活躍した20世紀初頭においては、こうした三次元における光の振る舞いや、ダイヤモンド内部に光が入った後の反射を計算することは困難だったため、ダイヤモンドの理想型を見直すべきである、という動きもあります。
 1970年代に入り、ブルース・ハーディングという人物が、トルコウスキーとは違った視点から数学的計算を行い、新しいカットデザインを発表しました。以来、ダイヤモンドカットにコンピュータシミュレーションや、特殊な顕微鏡なども導入されるようになっています。

ダイヤモンド・カットの重要要素

 原石状態のダイヤモンドは、加工後の美しい姿からは想像もできないくらい貧相です。その隠れた美貌を表に引き出すためには、カットと研磨が欠かせません。ダイヤモンドをカットするに当たっては、主として「ライトパフォーマンス」(Light Performance)と呼ばれる3つの側面が重要となります。

ダイヤモンドの屈折率とブリリアンス

 「屈折率」(Refractive Index=RI)とは、入射した光をどのような角度で反射するか、という指標です。ダイヤモンドの持つ2.417という数値は、他の宝石群と比較しても抜きん出ています。「屈折率が高い」という表現を平たく言い直すと、宝石の中に入った光が反射されて宝石の外に飛び出してしまうのではなく、反射されてもう一度宝石内部に入射する、ということです。つまり、宝石内部で反射する光の数が多いと言うことになり、肉眼では「輝きが強い」という現象として視認されます。なお、ダイヤモンドが反射した光のことを特に「ブリリアンス」(brilliance/光沢)といいます。
 ブリリアンスは更に、「external brilliance」(外部光沢)と「internal brilliance」(内部光沢)とに分類されます。external brillianceとはダイヤモンド表面が反射した光の事を指し、いわゆるダイヤモンド特有の「金剛光沢」を生み出すものです。これは研磨のクオリティにより大きく左右されます。一方、internal brillianceとはダイヤモンド下部に相当するパビリオン部から、観察者に対して反射される入射光のパーセンテージを指し、ファセット面のカット角に左右されます。近年ではブリリアンスの代わりに「ブライトネス」(brightness)という用語が用いられる傾向にあります。

ダイヤモンドの分散度とファイア

 「分散度」(Dispertion)とは白色光線がダイヤモンドの中で屈折し、波長の差により虹の七色に分かれることを言います。ダイヤモンドは「0.044」という非常に高い分散度をもっています。「分散度が強い」ということは、白色光線を分解して虹を発生する能力に優れている、ということになりますので、肉眼では「虹の七色がはっきり見える」という現象として視認されます。
 白色光線が分散して発する光のことを特に「ファイア」(fire)と呼びますが、カット直後が最も顕著です。ファイアを効果的に発現させるためには、ダイヤモンド最上部に位置する「テーブル」と呼ばれる面が重要となってきます。テーブルが小さすぎるとクラウン部のファセット面が大きくなり、ブリリアンスが低下してファイアが目立つようになります。逆にテーブルが大きすぎるとクラウンファセットが小さくなり、ファイアが申し訳程度にしか現れなくなります。

ダイヤモンドのシンチレーション

 「シンチレーション」(scintillation)とは、ダイヤモンド内部のファセット面からの反射光を指します。ダイヤモンドを動かしたとき、もしくは観察者がダイヤモンドの位置に対して移動した時に見られるきらめき、と言ってもよいでしょう。
 シンチレーションの度合いは、ファセット面の数や大きさ、そして研磨クオリティに左右されます。ダイヤモンドが小粒の場合、シンチレーションの値が高いと、内部からの過剰な輝きによって乳白色に見えることがあります。逆に、ダイヤモンドが大粒で、ファセット面が大きすぎたり少なすぎたりする場合は、シンチレーションが全く見られず、ガラス玉のような味気ない様相を呈します。

ダイヤモンドのカットの中心地

 ダイヤモンドカット、および研磨の世界的な中心地はインドです。ダイヤモンドが12個あれば、その内の11個はインドで何らかの加工を受けているという割合です。
 インドのダイヤモンド産業では130万人の人々が従事しており、インドの800億ドルに及ぶ年間輸出総額の内、およそ14%を占めるほどです。世界で流通しているダイヤモンドのうち、個数ベースで見るとおよそ92%、価格ベースで見るとおよそ55%がインドのシェアになっています。
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蛍光性

 ダイヤモンドの蛍光性(けいこうせい/Fluorescence)とは、ダイヤモンドに長波紫外線(366nm)を照射した時に発する色合いのことです。発色要因は、光のエネルギーとダイヤモンド中の原子との相互作用で、ダイヤモンドの内およそ1/3は蛍光性をもち、大部分はブルーであると言われています。
 人工ダイヤモンドは蛍光性が極めて弱く、逆に天然ダイヤモンドは比較的強いことから、蛍光性こそが人工と天然とを区別する際の決定因になるだろうとも言われています。
 蛍光性の評価は、GIA基準で程度が低い順に並べるとNone(無し)、Faint(弱い)、Medium(中程度)、Strong(強い)、Very Strong(非常に強い)となり、カラーグレーディングと同様、マスターストーンとの目視比較によって評価付けがなされます。ちなみにHRDを始めとするIDC規則においては「nil - slight - medium - strong」という格付けになります。なお、GIAでも、HRDでも、蛍光時に発する色については鑑定書に記載されません。
 GIAの調査によると、無作為で選んだ天然ダイヤモンド26,010個のうち、65%は蛍光性をもたないという結果が出ました。また、蛍光性を有する35%のうち、97%がブルーの色調を持ち、さらにそのうち38%が「Faint」、62%が「Medium~VeryStrong」に分類されるという内訳になりました。
 ブルー以外の色調としてはグリーン、イエロー、レッドなどがありますが、これらは極めて希少です。また、数は少ないですが蛍光性が「very strong」という評価を受けたダイヤモンドは、時として乳白色、もしくはオイリー(油っぽい)と呼ばれる外観を呈することがあり、「オーバーブルーズ」(overblues)と呼ばれることもあります。
 「Strong」、もしくは「Very Strong」の蛍光性をもつダイヤモンドは、時として蛍光性を持たないダイヤモンドよりもカラーグレーディングに関して高評価を受けることがあります。これは、青という色が黄色の補色(色相環で正反対に位置する関係の色の組み合わせ)であるため、ダイヤモンドの持つ黄色味がかった色調を打ち消すからだと考えられています。
 GIAの見解では、上記した「Very Strong」のダイヤモンド、いわゆる「オーバーブルーズ」を除き、蛍光性というものがダイヤモンドの透明性に影響を及ぼすことはない、と結論付けています。 ダイヤモンドの蛍光性一覧
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プロット

 ダイヤモンドのプロット(Plot)とは、そのダイヤモンド内に含まれるインクルージョンやブレミッシュ、つまり内包物や傷を示したものです。
 過剰なインクルージョンやブレミッシュはもちろんダイヤモンドのグレードを下げてしまいますが、外観や美しさを損なわない程度のごく小さなインクルージョンやブレミッシュは、逆にそのダイヤの固有情報として「指紋」の役割を果たしてくれます。
 石の表面にある傷などは緑、石の内部にあるものは赤、カッティング時に余分につけられたファセットは黒で示されます。
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