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宝石の鑑定士になるには?

 宝石やジュエリーの価値を判定する「鑑定士」になる方法を解説します。

宝石の鑑定士とは?

 宝石の鑑定士とは、宝石の真贋判定(鑑別)や格付け(グレーディング)を行う人のことです。
 一般に「宝石の鑑定士」と呼ばれる人は国家資格ではなく、民間の機関より何らかの資格を与えられた人を指します。
 鑑定士の職場としては、宝石鑑定機関、宝石販売店、輸入代理店、百貨店の宝石売場などです。
 鑑定士の資格を与える専門機関は非常にたくさんあり、日本においては玉石混交(ぎょくせきこんこう)状態です。問うページでは、宝石業界において有名ないくつかの資格をご紹介します。
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GG

 GGとはGraduate Gemologistの略で、GIA(Gemological Institute of Americe/米国宝石学会)が認定している資格です。
 GGは宝石の知識、ビジネスのノウハウ、グレーディング・鑑別技術を修得した人に与えられる称号で、日本のみならず、GIAの分校がある国においては非常に高い評価を受けます。
 日本における資格取得にはGIAの日本支部であるGIA Japanが窓口となっており、全日制と通信制があります。入学資格は18歳以上で、高校卒業と同等以上の学力があると認められた人です。

全日制コース

 全日制では26週(6ヶ月/授業時間780時間)かけて理論と実技を学び、26週間のすべてのカリキュラムを修了し、最終試験に合格すると、GIAよりGGのディプロマ(diploma/卒業証書)が授与されます。学費はトータル2,400,000円ほどです。なお、全日制で規定回数以内に合格できなかった場合は、通信制に編入してもう一度チャレンジすることも出来ます。 GIA Japan入学要綱

通信制コース

 通信制は更に「ホームスタディ コース」と「GGホームスタディ・ハイブリッド プログラム」とに分かれます。
  ホームスタディコースではまず、「ダイアモンド・エッセンシャル・コース、「ダイアモンド・グレーディングコース」(D&DG)、「カラード・ストーン・エッセンシャル・コース」、「カラードストーン・コース」、「鑑別コース」の5コースを修了する必要があります。更に東京と大阪で開催される実技教室である「オープンコース」(ダイアモンドグレーディング、鑑別、カラードストーン・グレーディングの3コース)を、約2週間かけて修了しなければなりません。学費はトータル1,400,000円ほどです(実技器具代金を除く)。
 GGホームスタディ・ハイブリッド・プログラムとは通信教育と通学教育とを併せたプログラムのことで、必須コースはホームスタディ コースと同様、理論5コース、実技3コースとなります。学費はトータル1,700,000円ほどです。 GIA Japan入学要綱
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FGA

 FGAとは「Fellow of Gemmological Association of Great Britain」の略でGemmological Association of Great Britain(英国宝石学協会)から与えられる資格です。
 英国宝石学協会(通称Gem-A)は世界で最も歴史が古く、宝石流通のほか、宝石学に関する教育も実施しています。
 欧米においては通信教育、通学教育のどちらも可能ですが、通信教育の場合は、教材となる宝石を自分で手に入れる必要があります。
 日本においては「全国宝石学協会」が英国宝石学協会承認のもと、昭和43年からFGA試験の実施を委嘱され、また昭和53年から日本語による通信教育講座と資格試験を行っていました。現在は日本宝飾クラフト学院が窓口になっています。

ファウンデーションコース

 ファウンデーションコース(Gem-A Foundation course/基礎コース)は、宝石学の「いろは」を教える導入コースです。アンバーからジルコンまであらゆる種類の宝石に触れ、宝石の特徴、宝飾品への加工、本物と偽物の見分け方などを学びます。

ディプローマコース

 ファウンデーションコースを修了した人には、ディプローマコース(diploma course/上級コース)への門戸が開かれます。このコースの目的は、宝石学の基礎知識を元にして、より幅広い知識を身につけることです。ファウンデーションコースが理論重視であるのに対し、ディプローマは実技重視、つまり実際の宝石を用いた授業がメインとなります。

FGA

 ディプローマコースを取得した人は、「FGA」、つまり「Fellow of Gemmological Association of Great Britain」への申し込み資格を与えられます。FGAは、世界的に価値を認められた権威あるステータスということで、業界では高い評価を受けます。テストは毎年一回6月に開催され、筆記試験と実技試験とを3日に分けて行います。
 筆記試験は全て論文形式となり、宝石の特性と起源、加工、比重、色、人工処理などの知識を問われます。実技試験ではルーペ、顕微鏡、屈折計、偏光器、分光器、二色鏡、紫外線ライトなど、様々な器具の使い方や構造を知っていなければなりません。
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パールインストラクター

 パールインストラクターとは、真珠科学研究所が認定している資格です。
 2日間10時間の講習で真珠の成因・構造とメンテナンスを学び、また実習で欠陥検査、鑑別検査、品質分析検査をサンプルパールにて学びます。修了者には「パールインストラクター」の称号が授与されます。
 講習は3月、6月、9月、12月の年4回実施され、定員は毎回5名、講習費は教材費込みで40,000円ほどです。
 真珠科学研究所では上記パールインストラクターのほか、「真珠メンテナンスマスター」や「真珠テリスマスター」などの認定も行っています。「真珠メンテナンスマスター」は、原則として小売店の経営者、従業員向けのセミナーで、真珠の修復保存技術習得できます。「真珠テリスマスター」は、真珠の「テリ」発現メカニズムを知り、実際に「テリ」の評価を行なえる人材を育成するためのセミナーです。 真珠教育セミナー
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ISG

 ISG(International School of Gemology)は、オンラインで宝石学講座を受講できるシステムです。上記したGGやFGAの授業内容を統合したような教材を使っていますので、GIAやFGA受講者が、勉強の補助として自宅で受講するというケースもあるようです。
 授業内容は、人工宝石の見分け方、真珠、宝石の時計への組み込み、ダイヤモンド、色つき宝石の見分け方や格付けなどかなり包括的で、試験は第三者機関が請け負っています。
 授業料は業界一といわれるほど安価(1,200ドル程度)で、なおかつインターネットを通じて自宅で受講できますので、自分のペースで勉強をしたいという人には向いているようです。
 仕事の現場で威力を発揮するような資格にはなりませんが、「趣味の延長として宝石について学びたい」という人には向いています。なお、残念ながら日本語には対応していません。
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DCA

 DCA(Diamond Council of America)は、主に小売業についている宝石商にとって役立つ教育を提供しており、ダイヤモンドコース(Diamond Course)、及び色つき宝石コース(Colored Stones Course)があります。
 「ダイヤモンドコース」では、ダイヤモンドが鉱山から発掘され、小売店の店頭に並ぶまでの総合的な流れを学び、更に宝石商として小売に携わる際に、必ず知っておかねばならない様々な知識を学びます。
 「色つき宝石コース」では、宝石を買いにきた顧客に対し、プロとしてどのように対応し、またどのようにして知識を有効活用すれば、実際の購買につながるかを学びます。
 ここで学んだ知識は、いわゆる「資格」という形で第三者に見せるのではなく、実際に顧客と向き合った時のテクニックを磨く際に役立つでしょう。なお、残念ながら日本語には対応していません。
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AG

 AIGS(Asian Institute of Gemological Sciences)は、世界で最も重要な色つき宝石流通の中心地、タイ・バンコクにある団体で、1978年に設立された宝石学を学ぶ人たち専門の教育組織です。
 すでに宝石流通に携わっているプロ、および宝石学に興味のある一般人に対しても門戸を開いています。資格認定も行っており、所定のコースを修了すると、「AG Diploma」を取得することができます。
 ルビーやサファイア鉱山で、宝石の発掘現場を実地に見学できたり、カッティングや加工を間近で観察するなど、この学校でしか経験できないような特徴的なカリキュラムもあります。
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