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金について

 宝飾品として加工される金の特徴、来歴、種類などについて解説します。

金の特徴

 金とは、貴金属の一種であり、第11族元素に属する光沢のある黄色(いわゆる金色)を有した金属元素を指します(元素番号79)。
金を薄くたたきのばした金箔  金は非常に柔かく、向こうが透けて見えるほど薄くのばすことができる金属で、1グラムあれば数平方メートル、また長さでは3,000メートルまで伸ばすことができます。平面状に伸ばしたものを「金箔」(きんぱく)、糸状に伸ばしたものを「金糸」(きんし)と呼びます。ちなみに金は黄色と赤の可視光線を強力に反射するため、薄く延ばした金に光を当てると、青緑色が強く出ます。
 精錬が必要な鉄などとは違い、自然界に単体で存在するため、装飾品などとして古くから人類に利用されてきました。また、空気、熱、湿気などの化学的侵食に強いことから、貨幣用金属として利用されており、銀や銅と合わせて「貨幣金属」(かへいきんぞく)と呼ばれることもあります。
 基本的に酸では溶けませんが、「aqua regia」という液体に触れると溶けてしまいます。「aqua regia」とは、ラテン語で「王の水」を意味し、濃硝酸1と濃塩酸3~4の混合液のことです。日本語では「王水」という訳語が当てられます。その他金を溶かす液体は、ヨードチンキ、セレン酸水溶液などです。
 金は2009年時点で、人類の歴史を通し、総計16万5千トン採掘されたと推計されており、この値を体積に換算すると約8,500立方メートルに相当します。現代における金の使途は、約50%が宝飾品への加工、約40%が投資対象、そして残り10%が工業利用です。
 日本における代表的な金の産地は、兵庫県中瀬鉱山や鹿児島県菱刈鉱山などです。また北海道枝幸地方では、かつて巨大な砂金粒である「ナゲット」がよく産出したと言われています。
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装飾品としての金

 金を糸状に伸ばしたもの、つまり「金糸」は、通常の糸と織り交ぜて刺繍(ししゅう)などに用いられます。また金を薄く延ばしたいわゆる「金箔」は、装身具の表面に貼り付けたり、建物の外観・内観の装飾に用いられたりします。
金の加工品の一種「木目金」(もくめがね)  一方、金属の塊としては、指輪やブローチを始めとする装飾品に加工されますが、純度100%の状態では柔らかすぎて容易に破損してしまいます。そこで通常は金と他の金属とを混ぜ合わせて合金と言う形にしてから、様々な装飾品へと加工されます。
 日本には、「木目金」(もくめがね)と呼ばれる、金属の色の違いを利用して木目状の文様を創り出す日本独自の特殊な金属加工技術が存在します。これは銀、銅、赤銅、金などを何枚も重ねて加熱し、上からひたすらたたき伸ばすことで複数の色合いが交じり合い、ちょうど木目のような模様を作り出すものです。
 また、ヨーロッパで作られるクランベリーグラス(cranberry glass)は、発色材料として金を用いることで有名です。
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装飾品以外の金

 金は中世の頃から人を健康にするものと信じられていました。現代においても金の医学的な薬効性を信じている人がおり、金を薬代わりに用いることを「クリソセラピー」(crysotherapy)や「オーロセラピー」(aurotherapy)などと呼称することもあるようです。しかし、金は体内に存在するいかなる化学物質とも反応しないため、その信憑性は疑わしいものがあります。ただ「ゴールドソルト」(gold salt)と呼ばれる、金のイオン化合物に関しては、議論の余地はあるものの、リウマチや結核の痛み・腫脹を緩和するとの報告もあるようです。また歯科領域において、金が歯の修復に用いられることは周知の事実でしょう。「クラウン」と呼ばれるかぶせものや、歯列矯正器に用いられたりします。
緊迫を含むドイツの伝統的なハーブ酒Goldwasser  金が食品として用いられることもあり、EU圏内では「E number175」(EU圏内で食品添加物に与えられる番号)が割り当てられています。金箔やフレーク状、もしくは粉末状の金は、時に高級料理、スイーツ、飲料の中で見かけることがあります。中世ヨーロッパにおいては、金を食べ物や飲み物の中に入れることで自分の富を誇示したり、また「珍しいものは体によい」という単純な信心から、いわゆる「健康食品」として扱われていたこともあります。
 現代においては「Goldwasser」と呼ばれるドイツの伝統的なハーブ酒があり、中に金箔を含んでいます。しかし金は体内の物質とは一切化学反応を起こさないため、毒にならないかわりに、薬にもなりません。
 金は赤外線や放射線を反射する性質を持ち、宇宙空間で作業する際の耐熱スーツ、ヘルメット、サンバイザー、人工衛星の表面などに応用されています。また透けるほど薄く引き延ばした金を航空機のコックピット窓に張り付けて電気を通すと、電気に対して高い抵抗値を持つ金が熱を持ち、結果として窓の凍結防止や曇り防止に役立ちます。
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金の種類と純度

 金と他の金属との混合比率により、様々な呼び名があります。具体的には以下です。
金の純度
  • イエローゴールド  K18の場合、金75%、残り25%が銀と銅等量の合金
  • グリーンゴールド  K18の場合、金75%で残り25%が銀の合金
  • ピンクゴールド  18Kの場合、金75%、残り25%の内の8割程度が銅でできた合金
  • レッドゴールド  K18の場合、金75%で残りが銅の合金でローズゴールドとも呼ばれる
  • ホワイトゴールド  K18の場合、金75%、残り25%のうちニッケル系、パラジウム系のどちらかを5%以上含む合金。ただしニッケルは人体に有毒なため、代わりにパラジウムを用いることもあるが、割高になる
 上記した他にも、鉄を混ぜ合わせた「ブルーゴールド」や、アルミニウムを混ぜ合わせた「パープルゴールド」などが存在します。また、金、銀、銅の含有率による色合いの変化は以下のようになります。 金、銀、銅の含有率による色合いの変化  金の純度は、通常24を最高点とした分率で表示されます。純度100%の金、いわゆる「純金」は「24K」(読み方は”カラット”だが、重量を表すcaratとは違う)と表示され、純度75%の金は「18K」と表示されます(※18÷24×100=75%)。
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