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ルビー

 宝石の内「ルビー」について、組成・特徴・歴史・産地などを写真や動画を交えて解説します。

ルビーの組成

ルビーの外観写真
  • 分類:酸化鉱物
  • 組成:Al2O3
  • 結晶系:三方晶系
  • 色:赤
  • 光沢:ガラス光沢
  • モース硬度:9
  • 比重:4.0
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ルビーの特徴

 ルビー(和名は紅玉-こうぎょく)は、コランダムという酸化鉱物の変種です。
  コランダム (corundum) とは、酸化アルミニウム (Al2O3) の結晶からなる鉱物で、鋼玉(こうぎょく)とも呼ばれます。
 純粋な結晶は無色透明ですが、結晶に組みこまれる不純物イオンにより、ルビー(クロムを含み、赤色)、サファイア(鉄やチタンなどを含み、青色などの赤色以外のもの)などと呼び分けられます。
 石言葉は「熱情・純愛」で7月の誕生石に指定されています。
 名前はラテン語で「赤」を意味する「ルベウス」 (rubeus) が由来です。
 アメリカ・ワシントンD.C.にある国立自然史博物館には、世界で最も大きく、かつ最も上質なルビーが展示されています。大きさは23.1カラットで、鮮やかな赤と目を見張るような透明感が特徴です。このルビーは、アメリカの慈善家・ピーターバック氏(Peter Buck)が、他界した妻の記念にと、無償で博物館に寄贈したものだそうです。
 ルビーの特殊効果としてはスター効果やカラーチェンジ、キャッアイ効果があり、それぞれ「スター・ルビー」、「カラーチェンジ・ルビー」、「キャッツアイ・ルビー」と呼ばれます。

ルビーの色

 ルビーは、どんな光の中でも赤い光を発することができます。これは、ルビーの中に1%だけ含まれている不純物イオンであるクロムが、光エネルギーに反応し、自ら赤く発光するためです。
 クロムが0.1%しか混ざっていない薄い赤色のものは「ピンクサファイア」という宝石になりますが、クロムが5%を超えるものは、もはや宝石としては使用できず、その高い硬度(モース硬度9)を利用して「エメリー」という灰色の工業用の研磨剤になります。

ルビーの産地

 ルビーの産地は、ミャンマー、スリランカ、タイ、カンボジア、タンザニア、マダガスカルなどです。とくにミャンマーのモゴク谷(Mogok Valley)は、過去数世紀にわたって上質なルビーを産出し続けてきました。そのせいか、最近では枯渇状態にあるようです。
 ミャンマー中部のMongHsuという地域では、1990年代よりルビーの採掘が開始され、今では世界をリードするルビー産地になっています。また、ミャンマー北部のNamyaという地域でもルビーの堆積層が発見されています。
 ミャンマー以外では、グリーンランドの後退した氷棚から広大なルビー堆積層が発見されており、また2002年にはケニアのワセージス川、2009年にはモザンビークでもルビーが見つかっています。

ルビーのグレーディング

 ルビーのグレーディング(格付け)は主としてカラーに依存しており、「ピジョンブラッド」(鳩の血)と呼ばれる深い赤色が最高評価を受けます。
 カラーの次に重要なのがクラリティ、すなわち透明度です。通称「シルク」(silk)と呼ばれるルチルの針状結晶を含まないルビーはほとんど存在しないため、あまりにも透明度の高いものは人工的に何らかの処理を受けた可能性を示唆しています。
 ダイヤモンド同様、カットやカラットもルビーのクオリティを決定付ける重要な要素です。

ルビーの人工処理

 ルビーは人工処理を受ける宝石として有名です。
 中でも熱処理は極めて頻繁に行われます。一般的には1,800度でルビーを加熱し、ルビーの中にある紫や青の色合いを飛ばして、赤色をより際立たせます。また同時にルチルの針状結晶であるシルクも消されます。
 ガラス充填法もよく用いられる人工処理です。ルビーの内外にあるミクロな溝を、人工のオイルで埋めることで、透明度が劇的に改善されます。なお、傷を埋めるのみならず、色が人為的に添加されることもあり、その際は銅、ナトリウム、カルシウム、カリウムなどが用いられます。
 ルビーに対して超音波洗浄がお勧めできない理由は、人工処理によって添加された表面のコーティングが、超音波によって崩れてしまう危険性があるためです。
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ルビーの動画

 以下でご紹介するのはルビーの動画集です。前者はマダガスカル産5.80カラット充填処理済み、後者は35.55カラットピジョンブラッドです。
元動画は⇒こちら
元動画は⇒こちら
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