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ロードクロサイト

 宝石の内「ロードクロサイト」について、組成・特徴・歴史・産地などを写真や動画を交えて解説します。

ロードクロサイトの組成

ロードクロサイトの外観写真
  • 分類:炭酸塩鉱物
  • 組成:MnCO3
  • 結晶系:三方晶系
  • 色:灰、紅、紅赤、桃
  • 光沢:ガラス光沢
  • モース硬度:3.5-4
  • 比重:3.7
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ロードクロサイトの特徴

 ロードクロサイト(和名は菱マンガン鉱-りょうまんがんこう/インカローズとも)は 炭酸マンガンから成る鉱物の一種です。
 古代インカ人たちは、この石を「かつての統治者の血が石になったもの」と信じていたため、しばしば「Rosa del Inca」、すなわち「インカのバラ」と呼称していました。ロードクロサイトが「インカローズ」(Inca Rose)という別名を持っているゆえんはここにあります。

ロードクロサイトの色

 ロードクロサイトの純粋な結晶は、バラのような鮮やかな赤色を示しますが、最も頻繁に目にするのはピンク色です。不純物が混じれば混じるほどると赤が薄れるという特徴があり、たとえば、マンガンの代わりにカルシウムやマグネシウム、亜鉛などの不純物が成分として紛れ込むと、色合いがピンク~色あせた茶色に退色します。
 美しいピンク色のものは宝飾等に用いられることもありますが、硬度が低い(モース硬度3.5~4)ため、一般的に宝石としては不向きです。低コストのステンレス原料として利用されたり、またアルミニウム合金を作る際に多く利用されます。

ロードクロサイトの産地

 ロードクロサイトは、銀鉱山などの低温度環境にある鉱物堆積層で、他のマンガン含有鉱物とともによく採掘されます。最初にルーマニアで発見されたサンプルも銀鉱山で採れたものでした。
 縞模様のロードクロサイトは、アルゼンチンのカピリタスカタマルカという土地で発掘されますが、この土地にもやはり古代インカ文明の銀鉱山が存在しています。 世界最大のロードクロサイト・アルマキング この土地で採れたロードクロサイトの断面を見ると、ばら色の層が同心円状に広がっているため、その美しさを利用して装飾用に加工されることがよくあります。
 2002年、アメリカ・コロラド州は、地元の高校生の提案を受け、ロードクロサイトを州石に指定しました。これは、上質な赤いロードクロサイトが、コロラド州のアルマ(Alma)という土地近くにあるスウィートホーム鉱山で産出されるからです。この鉱山で取れた最大の結晶は「アルマ・キング」(Alma King)と呼ばれており、現在はデンバー自然科学博物館(Denver Museum of Nature and Science)に展示されています。
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ロードクロサイトの動画

 以下でご紹介するのは、鍾乳石(しょうにゅうせき)になったロードクロサイトをスライスし、縞模様が見えるように加工した映像です。「鍾乳石」とは、石灰岩の割れ目を雨水や地下水が通るとき、炭酸カルシウムを溶かして流れ、それが沈殿・成長したものを指します。アルゼンチンのカピリタス鉱山で産出されました。
元動画は⇒こちら
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