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ヘマタイト

 宝石の内「ヘマタイト」について、組成・特徴・歴史・産地などを写真や動画を交えて解説します。

ヘマタイトの組成

ヘマタイトの外観写真
  • 分類:酸化鉱物
  • 組成:Fe2O3
  • 結晶系:三方晶系
  • 色:鉄黒色
  • 光沢:金属光沢
  • モース硬度:5.5
  • 比重:5.3
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ヘマタイトの特徴

 ヘマタイト(和名は赤鉄鉱-せきてっこう)は、鉄鉱石として採掘される鉄が酸化した鉱物の一種です。
 色は黒~銀灰色、茶色~赤茶色のものが大勢を占めます。普通の鉄よりもモース硬度は高く、引っかきには強いですが、一定方向の衝撃に対しては鉄よりも弱いというのが特徴のひとつです。
 ヘマタイトはコランダムやイルメナイト(ilmenite=弱い磁性を持つ黒色または灰色の鉱物)と同一の結晶構造を有しています。またヘマタイトとイルメナイトは950度以上に熱せられると、完全な固溶体(こようたい)を作ります。固溶体とは、母体となる金属に合金元素が凝固した後も、原子レベルで完全に溶けあって一つの相になっている合金のことです。

ヘマタイトの語源

 英名の「hematite」はラテン語で「血のように赤い石」を表す語が中世フランス語で「hematite pierre」(エマティット・ピエール)となり、最終的に「hematite」となりました。ちなみに赤血球中に含まれる「ヘモグロビン」と同じ語源です。

ヘマタイトの使途

 ヘマタイトのうち、外観が美しいものは宝石に加工され、ブラックダイヤモンドとも呼ばれます。宝石としての人気は、ビクトリア時代のヨーロッパで最盛期を迎え、近年ではアメリカ西部で人気が再興しています。ちなみに「Hematine」とは、ヘマタイトを模して人工的に製造された磁力を持つ鉱物です。
 ヘマタイト(赤鉄鉱)はまた、顔料としてもよく用いられ、 特に上質の赤鉄鉱はイングランド、メキシコ、ブラジル、オーストラリア、および米国とカナダのスペリオル湖で採取されます。絵の具の「オーカー」(黄土色)は、様々な量のヘマタイトを含んだ粘土のことで、ヘマタイトの割合はおおむね20~70%です。ヘマタイト含量が少ないものは黄色が強く「イエローオーカー」、逆に含量が多いものは赤が強く「レッドオーカー」と呼ばれます。

ヘマタイトの産地

 ヘマタイトは通常、水の中で凝結沈殿するため、たまり水、鉱泉、湖などの底に層となって堆積するのが特徴です。たとえば灰色のヘマタイトは、アメリカイエローストーン・ナショナルパークなど、かつて溜り水や鉱泉があった場所付近で多く採取されます。
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ヘマタイトの動画

 以下でご紹介するのはヘマタイトの原石動画集です。前者はスイス産、後者はブラジル産です。
元動画は⇒こちら
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