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アゲット

 宝石の内「アゲット」について、組成・特徴・歴史・産地などを写真や動画を交えて解説します。

アゲットの組成

アゲットの外観写真
  • 分類:酸化鉱物
  • 組成:SiO2
  • 結晶系:三方晶系(低温型)/六方晶系(高温型)
  • 色:無色
  • 光沢:ガラス光沢
  • モース硬度:7
  • 比重:2.65
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アゲットの特徴

 アゲット(アゲートとも/和名は瑪瑙-めのう)は、縞模様が特徴のカルセドニー(玉髄-ぎょくずい)の一種で、蛋白石(たんぱくせき)、石英、玉髄が、岩石中の空洞部に層をなして沈殿してできた鉱物の変種です。色合いによって以下のような種類に分かれます。
アゲット(メノウ)の種類
  • オニックス (onyx) 縞瑪瑙(しまめのう)とも。蛋白石質と石英質の部分が交互に配列するため縞状に見え、黒色と白色がきれいに層状になっているもの。
  • サードニクス (sardonyx) 紅縞瑪瑙(べにしまめのう)とも。縞目が紅色と白色に彩られていて美しいものをいう。8月の誕生石とされている。
  • モスアゲート (moss agate) 苔瑪瑙(こけめのう)とも。内部に緑泥石か類似の結晶を内包していて、研磨すると苔状の模様が現れるもの。
  • メキシカンアゲート (mexican agate)岩石の中に目の玉のような模様が1つだけある瑪瑙を指す。サイクロプス・アゲットとも(サイクロプスは、空想上の一つ目の巨人)。
  • デンドリティックアゲート (dendritic agate)内包物がしだ植物のように枝葉を広げたような文様を持つ瑪瑙。デンドリティック(dendritic)とは「樹状の」という意味。
 アゲット(メノウ)の主な産地は、ドイツ、ブラジル、チェコ(ボヘミア地方)などで、日本では石川県、富山県、北海道などで産出され、七宝の一つに数えられています。七宝(しっぽう)とは、仏教用語で「七つの宝」を意味し、金、銀、瑠璃、玻璃、しゃこ、珊瑚、瑪瑙の7種のことです。ただし七宝におけるメノウはエメラルドを指しているという説もあります。
 アゲット(agete)の英語名の由来は、古代において主要な産地であったイタリア・シチリア島のAcate川を表すギリシャ語の 「achates」に由来しています(当時のシチリア島はギリシアの植民地)。名付け親は、この川の岸辺でたくさんのアゲットを採取した、古代ギリシアの哲学者兼自然科学者、テオプラストス(B.C3~4)です。また、和名である瑪瑙(めのう)の名前は、石の外観が馬の脳に似ていることに由来しています。 様々な種類のアゲット(メノウ)  アゲット(メノウ)はその見た目の美しさから、各種の彫刻材料、日用品(灰皿、置時計など)、アクセサリー(ブレスレット、ペンダント、ブローチ、ヘアピンなど)などに加工されたり、酸に強いという特性から、すり鉢や乳棒などに加工されたりもします。特に円蓋状に加工したアゲット・ボウル(agate bowl)は古くから愛好されており、BC1世紀頃に活躍したポントス王国のミトリダテス6世の数千個にも及ぶコレクションを始め、ビザンチン帝国やルネッサンス時代のコレクションも有名です。またアゲットは研磨石としても利用され、皮革製品の艶出しにも用いられます。
 アゲット(メノウ)を最初に商業的に利用し始めたのが、ドイツの都市イーダーオーバーシュタイン(Idar-Oberstein)です。当初は近郊で採取されるアゲット(メノウ)のみを用いてヨーロッパ市場で商売をしていましたが、20世紀を過ぎたあたりから、船のバラスト(船体を安定させるために船内に取り入れる重りのこと)として大量のアゲット(メノウ)をブラジルから輸入し始め、最終的にはメノウ製品を世界中に輸出するまでに成長しました。
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アゲットの動画

 以下でご紹介するのは、アゲットの原石を研磨する様子を捉えた動画です。ドイツ宝石産業の首都と呼ばれる都市イーダーオーバーシュタインは、元々オーバーシュタイン男爵が所有するIdarとObersteinという二つの都市でしたが、1933年に統合されて現在の都市名に変わっています。近くにナヘ川があるという地の利を生かし、川の流れを動力源とした宝石のカッティングで栄えました。アゲットの採掘に関しては、早くも1497年に記述が見られます。
 19世紀になってアゲットやジャスパーの採掘量が減ってくると、ブラジルから宝石類を安価な方法で輸入し、蓄積してきたカッティング技術を生かして宝飾産業の中心地としての地位を揺ぎないものとしました。
元動画は⇒こちら
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