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パール

 宝石の内「パール」について、組成・特徴・歴史・産地などを写真や動画を交えて解説します。

パールの組成

パールの外観写真
  • 分類:生体鉱物
  • 組成:CaCO3+有機物
  • 結晶系:-
  • 色:白・ピンク・金など
  • 光沢:真珠光沢
  • モース硬度:2.4-4.5
  • 比重:2.6-2.85
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パールの特徴

 パール(和名は真珠-しんじゅ)は、貝から採れる宝石の一種であり、生体がつくる鉱物であることから「生体鉱物」(バイオミネラル)とも呼ばれます。
 自然界において自然発生するパールもありますが、数は極めて少なく、今日市場で流通しているものの多くは養殖されたものです。かつてはたった一個のパールを見つけるために、膨大な数の貝を開ける必要があったため、非常に高価で希少な宝石でした。
 歴史は古く、日本においても日本書紀や古事記、万葉集にすでにその記述が見られます。また、中国の『魏志倭人伝』にも邪馬台国の台与が曹魏に白珠(真珠)5,000個を送ったことが記されています。
 パールは主として装飾品に用いられてきましたが、過去には砕かれて化粧品や薬の原料、 または顔料の素材として利用されたこともあります。宝石として利用される真珠は、ちょうど貝殻の内側に光を当てたときのような遊色効果を示すものです。  石言葉「健康・富」で6月の誕生石です。
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パールの種類

 真珠の理想型は完璧な球形ですが、球以外の「バロック・パール」(baroque pearl)と呼ばれるものも多数存在します。一般的に、淡水産のものより海水産のパールの方が高値がつきます。パールの模造品も数多く出回っており、安価な宝飾品などに利用されますが、遊色効果が不十分なため、たいていの場合はすぐに見分けがつきます。 様々なバロックパール(Baroque Pearls)のサンプル画像  以下は、代表的なパールの種類一覧です。
パールの種類一覧
  • 本真珠  模造品ではなく、貝の体内で形成されたパールの事を指します。
  • 南洋真珠  南洋真珠(South Sea Pearl)とは、シロチョウガイ(白蝶貝/Pinctada maxima/south sea pearl oyster)から採れる真珠のことを指し、主にオーストラリア、インドネシア、フィリピン、ミャンマーで養殖されています。
     色は真珠を作り出す貝殻の色、すなわち白、金、銀、ピンク、クリームなど様々です。シロチョウガイ自体の数が少ないことから、必然的に南洋真珠の希少価値も高まり、今では黒真珠よりも高値がつきます。
  • 黒蝶真珠/黒真珠  黒蝶真珠(黒真珠/black pearl/black Tahitian pearl)とは、クロチョウガイ(黒蝶貝/Pinctada margaritifera/black pearl oyster)から採れる真珠のことを指します。主にクロチョウガイが多く生息するタヒチなど、太平洋上の島々で養殖されています。
     中国産の淡水パールや、日本産のアコヤ真珠に比べると希少価値が高いですが、南洋真珠に比べるとやや劣ります。
  • マベ真珠  マベガイ(マベ貝/Pteria penguin)から採れる真珠の事を指し、主に香港、台湾、インドネシア、奄美大島などで養殖されています。
  • コンクパール  コンクパールとはピンク貝(Strombus gigas)という巻貝の一種から採れる真珠の事を指し、主にピンク貝が多く生息する西インド諸島のカリブ海で採れます。
     色はピンク、白、黄、茶などがあり、表面にある炎が燃え上がったような模様が特徴です。ピンク貝は巻貝であり、他の真珠養殖のように人工的に核を挿入することが不可能であるため、コンクパールのほとんどが天然の真珠です。
  • 淡水パール  淡水に生息する貝がパールを形成した時、そのパールは「淡水パール」と呼ばれます。 イケチョウガイやカラス貝など、イシガイ科(unionidae)に属する貝が有名です。
     人工養殖においてもきれいな球形を作ることが難しいため、米粒形やティアドロップ形など「バロックパール」(baroque pearl=球形以外のパール)として扱われることが多いようです。中国が主産地です。
  • ケシパール  ケシパールとは、真珠養殖の過程で生まれた副産物のようなもので、核を持たない真珠のことを指します。
     貝の体内に挿入された核を外套膜から取り除く工程に失敗してしまうと、極めて小さい小粒真珠が生まれますが、こうして生まれた真珠のことを、「ケシ粒のように小さい」という意味から「ケシパール」と呼びます。
様々な真珠の種類
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パールの生成

 以下では、自然界におけるパールの形成過程と、養殖業におけるパールの形成方法について解説します。

パールの自然形成

 パール(真珠)の自然形成過程は、まず貝の体内にある外套膜が細胞分裂して袋状になり、真珠袋をつくることから始まります。 その中でカルシウムの結晶(霰石-あられいし)と有機質層(主にタンパク質コンキオリン-conchiolin)が交互に積層し、真珠層を形成していきます。この有機質の薄層と霰石の薄層が、真珠特有の虹色(遊色効果)を生み出し、「真珠」が完成するのです。層が薄ければ薄いほど、また数が多ければ多いほど、光沢の質が増します。また、真珠の色合いは、含有する有機質層の厚さや色素によって決まります。
 貝殻を持つ軟体動物は全て、理論上パールを生成することが出来ますが、光沢や球形が不十分だったりして、ほとんどの場合は商品価値がありません。宝石学者たちはこうした真珠様のものを真珠とは認めておらず、「石灰凝固」などと呼称します。食用イガイ、食用カキ、時には食用カタツムリであるエスカルゴの体内からも発見されることがあります。

パールの養殖

断面から見る天然真珠と養殖真珠の違い  パールの養殖方法には様々なバリエーションが存在します。
 具体的には、「パールの中心部で接ぎ穂の役割を果たすビーズ様の玉を貝内部に移植するかしないか」、「接ぎ穂を外套膜内に入れるのか生殖器内に入れるのか」、「接ぎ穂となる玉は球形なのかそれ以外の形なのか」、「貝を淡水で養殖するか海水でするか」、などです。
 海水で養殖される真珠貝としては、アコヤガイ(日本)、シロチョウガイ(オーストラリアなど南洋の島々)、クロチョウガイ(タヒチなど太平洋上の島々)などが挙げられます。一方、淡水で養殖される真珠貝としては、中国におけるイシガイが代表です。
 天然の真珠と養殖真珠はX線検査によって鑑別が可能です。天然パールをX線で見た場合、中心部には成長の痕跡を示す同心円状の成長線が見て取れます。一方養殖真珠は、接ぎ穂となる核を内部に挿入してから、およそ6ヶ月目にその核を取り除くため、核のあった中心部が切れ目のない単一の影として見えます。
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パールの動画

 以下でご紹介するのは、様々な種類のパールを用いたアクセサリーのギャラリーです。
元動画は⇒こちら
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