トップ宝石の選び方宝石の英名一覧オブシディアン

オブシディアン

 宝石の内「オブシディアン」について、組成・特徴・歴史・産地などを写真や動画を交えて解説します。

オブシディアンの組成

オブシディアンの外観写真
  • 分類:火山ガラス
  • 組成:70-75%のSiO2,及び MgO, Fe3O4
  • 結晶系:非晶質
  • 色:黒・灰・深緑・赤・黄
  • 光沢:ガラス光沢
  • モース硬度:5-5.5
  • 比重:2.5
オブシディアントップへ

オブシディアンの特徴

 オブシディアン(和名は黒曜石-こくようせき)は火山岩の一種です。
 加工された宝石ではなく岩石自体を示す場合は黒曜岩(こくようがん)という表現が用いられることもあります。石言葉は、摩訶不思議。様々な色の混じった美しいものは、研磨されて装飾品や宝飾品として用いられますが、サウジアラビア・メッカにあるカーバ神殿の黒石などにもオブシディアン(黒曜石)が用いられています。
 オブシディアン(黒曜石)は鉱物のようで、実は鉱物ではありません。なぜなら、構成成分が複雑なため結晶化が不十分となり、単一の鉱物を形成することができないからです。ですから時として「ミネラロイド」(非晶質の鉱物)という分類をされることがあります。
 オブシディアン(黒曜石)は通常水分含有量が1%以下ですが、水にさらされると徐々に水分を含み、パーライト(真珠岩/perlite)と呼ばれる岩石に変質します。

オブシディアンの色

 純粋なオブシディアン(黒曜石)はたいてい暗黒色ですが、内部の不純物によって様々な色合いを見せることがあります。鉄やマグネシウムを含むと、黒曜石は深緑から茶色、または黒に変色します。ごくまれではありますが、色が付いていない白に近いものもあるようです。

オブシディアンの生成過程

 オブシディアン(黒曜石)は、火山から噴出した珪素を含む溶岩が急速に冷却され(たとえば海底火山など)、結晶形成が最小限にとどまったときに生成されると考えられています。
 成分は二酸化珪素が約70%で、その他酸化マグネシウムや酸化鉄を含むことがあります。
 粘着性と化学重合の度合いが大きい流紋岩質マグマ(流紋岩は火山岩の一種で、花崗岩に対応する成分の火山岩)の中に見出されますが、このマグマは「黒曜石流」(obsidian flow)と呼ばれることもあります。粘着性と重合性が高いと、原子の拡散が妨げられ、結果として結晶の生成が阻害されますが、黒曜石を割ったときに極めて鋭利な断片(貝殻状断口/conchoidal fracture)が出来るのは、この「結晶の未成長」が原因と考えられています。

オブシディアンの使途

 オブシディアン(黒曜石)の鋭利な切片は、先史時代より世界各地でナイフや鏃(やじり)、槍の穂先などとして長く使用されてきました。
 メキシコのアステカ文明などでは黒曜石から武器や祭祀用メスもつくっており、アステカが強大な軍事力で周辺部族を征服できたのは、黒曜石の鉱脈を掌握していたからだとう説まであるくらいです。
 どんなに鋭利なナイフでも、顕微鏡でその刃先を観察するとギザギザしているものですが、オブシディアン(黒曜石)の刃先は驚くほど滑らかで均一です。その刃先の厚さはなんと3ナノメートル(1ナノメートルは1/100万mm)だという研究もあります。
オブシディアントップへ

オブシディアンの動画

 以下でご紹介するのは、オブシディアンのフォトギャラリー動画です。
元動画は⇒こちら
オブシディアントップへ